お飾り妻は嫌われたい!~愛のない契約結婚のはずが、旦那様がなぜか離してくれません~
「なんだよ、はっきり言えよ!」
「それでは、恐れながら……カイン様から何度も聞いておりましたので、知っていました」

 怒らせないようにやんわりと伝えてみたけれど、カインは侮辱されたと思ったようで、顔を真っ赤にして烈火のごとく(わめ)き出す。

「うっ、うるさい!! 女のくせに俺の話に口を挟むな! 可憐でおとなしそうな顔をしているから、従順な女だと思って選んだが……。クソッ! とんだ見かけ倒しだったな!」

 カインの言う通り、私は見た目の雰囲気から物静かな印象を持たれやすい。

 ふわふわと波打つストロベリーブロンドの髪に、長いまつげに縁取られた大きな深緑色の瞳。
 母親譲りの色白で繊細な面立ちを、周りの人から『まぁ、お人形さんみたいなお顔ですね』と褒められることも多かった。

 割とのんびり屋な性格も、おとなしそうな雰囲気に拍車をかけていると思う。

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