4月についた一生の嘘
1章
「あーもー、最近寒くて嫌になっちゃう。シュンもそうは思わない?」


寒さで白くなった息で手を温めながら幼馴染のシュンを見る。


「思うけどさ、それを言ったところでどうにもならないじゃん」


シュンも私と同じように手を温めている。寒さで赤くなった鼻が、ちょっとかわいい。


「ひっどー。私とは会話をする意味がないとでも言いたいのー?」


「そこまでは言ってないだろ。てか幸花(さちか)のせいで遅れてるんだからちょっとは急ごうとか思わないわけ?」


「思ってるけどさ、なにしろこの寒さで足が動かないんだって。私シュンより足短いし」


「幸花は短足だもんな」


「せめてチビって言ってくれる?」


「両方だろ」


「はぁ?本当ムカつく」


朝の喧嘩も毎日やってれば日常と化してしまった。相変わらず無駄に口が上手いシュンに勝てたことはない。
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