今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
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歩夢の退院の日、病棟はちょっとした騒ぎになっていた。
「王子と姫がいなくなってしまう」
「ああ……私達は何を楽しみに仕事をすれば良いの」
「行かないで、私達の癒やし」
そんな看護師達を見て、看護師長が溜め息を付いた。
「あなた達、いい加減にしなさい!勤務中でしょうが、患者さん達が待っているのよ。行きなさい」
その一声で、看護師さん達は後ろ髪を引かれるようにこちらを見ていたが、仕事に戻っていった。
「うちの看護師達が本当にすみません」
そう頭を下げる看護師長さんにこちらも頭を下げる。
「いえ、こちらこそ大変お世話になりました。煽ったのは私ですし、看護師さん達を叱らないで下さい」
「分かりました。お二人とも、お大事にして下さいね」
笑顔でそう言われ、歩ちゃんと共に頭を下げて病院を出た。
まだ日差しの暑い空を二人で見つめながら手を繋ぐ。
「歩ちゃん、帰ろう」
「はい!」