今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
キョトンとした顔で、コテンと首を傾げる愛花さんは物凄く可愛い。僕は口元を手で覆い、赤くなっている顔を隠すように俯きながら答える。
「とても似合っています」
「それなら良かった」
まるで二人だけの世界のように話をしている歩夢と愛花に、吉川はイライラを募らせていく。
「ちょっと!歩夢は私が好きだったんでしょう」
「まあ、そうですね」
「何その言い方!」
「好きでしたが、今はそうでは無いので」
「また私の事を好きになりなさいよ。私可愛いでしょう。そんな男女より私の方が良いに決まってるもの。ねぇ、歩夢やり直そうよ」
歩夢に手を伸ばそうとした吉川の手を愛花が払いのける。
「吉川さんいい加減にしなよ。あんたは自分からこの人の手を離したんだろう。私はこの人の手を取った」
今更僕と寄りお戻したいとか虫が良すぎる。それも僕が社長の息子だと気づいたからだろう。イライラとした様子で愛花さんが吉川を睨みつけた。
「溺れるれるほどの愛をくれるこの人の手を離したことを後悔すると良いよ」
吉川さんに向かって愛花さんが冷たい視線を送ると、吉川さんが悔しそうに唇をグッと噛みしめた。
「歩ちゃん、行こうか」
冷たい視線を和らげ、僕を見る愛花さんはいつもの愛花さんに戻っていた。二人で吉川さんに背を向けて歩き出すと、後ろから奇声のような声が聞こえてきた。
「ふっざけるなあぁぁぁぁーーーー!」