今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 *

 澄み渡る青空の下で私は歩ちゃんにお姫様抱っこをされていた。カメラマンがこちらに向かって笑って下さいと声を掛けてくる。私達はカメラのレンズに向かってとびっきりの笑顔を見せた。

「オッケーです」

 そう言われても歩夢は愛花を降ろすこと無く抱きしめていた。

「歩ちゃん降ろしてくれる?重いでしょう?ドレスの分もあるからかなり重いと思うんだけど?」

「そんな事ありません。こんなに綺麗な愛花さんを離したくない。一生このままでも良い」

 こういう気持ち悪いことを言う相変わらずの歩夢に、苦笑してしまう。

「それは嫌だな。ね?降ろして?」

 ポンポンと頭を軽く叩くと、ヘニャリと可愛い顔をした歩夢が、愛花を降ろした。

 今日は愛花と歩夢の結婚式だ。外に出て、これからブーケトスを行う予定となっている。

 そんな愛花の着る真っ白なウエディングドレスはマーメイドラインで、ボディーラインを強調したそれは愛花の美しいさを一層引き立てていた。隣に立つ歩夢も愛花と同じ白のタキシードを着ていて、お揃いですねと嬉しそうにしている。そんな歩夢は最近りりしさが増し、男らしくなった。以前のおどおどとした感じは何処にも無く、自信に満ちた様子は女性の視線を集める。今も式場スタッフや女性達の視線は歩夢に釘付けだった。それに気づいているのかいないのか、歩夢は愛花にべったりで、これでもかと愛を囁く。




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