今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 そう、今私のお腹には第一子となる命が宿っている。日に日に大きくなっていくお腹を、歩夢は愛おしそうにさすってくれるが、私にはただお腹が大きくなってるな……ぐらいにしか思わない。

 このまま子供が産まれても、私はこの子に愛情をあげられないかもしれないという不安がある。人を愛せない私に人の親になる資格は無いと思っていたが、歩夢は愛花さんの分まで子供を愛してあげるから子供を作ろうと言って来た。そして今、子を授かった証としてお腹が大きくなっていた。

 歩夢が愛おしそうに私のお腹を撫でるから、私もまねをしてお腹を撫でる。そうすると、よく分からない感情がそこにあって私は戸惑う。大きくなっていくお腹を見つめながら私は溜め息を付いた。

 私はこれからこの子の親になると言うのに、このお腹を見ても何も感じない。

 それが怖い。

 こんな私が親になっても良いのだろうか……。

 親に愛されない子供はどんな風に育つのだろう。

 こんなことなら子供なんて作らなければ良かった。



< 120 / 132 >

この作品をシェア

pagetop