今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

「美沙は酔いすぎだよ」

「いいの。明日は講義無いし、こうくんの所に泊まるから」
 
「そっか、仲が良いね」

「うん。愛花達だって仲いいじゃ無い」

「そうだね」

 私が虎ちゃんの方へ視線を向けると、スッと視線が逸らされる。
 
 まただ……。

 今月に入って、こんな風に目を逸らされるのは何度目だろう。言いようのない不安が胸をザワつかせる。私が隣にいるのに虎ちゃんは私を見ていない。虎ちゃんの表情と視線に不安が押し寄せる。

 虎ちゃんこっちを見て……。

 前みたいに私を見てよ。

 虎ちゃん、私を見てもらうにはどうすれば良い?

 私は努力しなくてはいけない。

 もっと……もっと努力しなければ……。


 美沙達とお酒を飲んだ数週間後、大学の講義が終わり、私は虎ちゃんとベンチに座っていた。虎ちゃんは先ほどから何も喋らず、前を向いている。時々手に持っているコーヒーを口に含んでは溜め息を付いていた。

 そんなに溜め息を付かないで欲しい。私と一緒にいることが、そんなに不快なのだろうか……そんなに苦痛なのだろうか……。もう潮時なのだろうか……。そう思っていると、虎ちゃんの口を開いた。



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