今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

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 私は昔から変わった子だった。

 人に対し執着することは無く、誰かとつるむことも無い。ただ楽しければ良いと思うだけ。そのせいか回りからはすましている、クールなどと言われることが多かった。そんな私が異変に気づいたのは、小学校の修学旅行での出来事だった。クラスの女子達が好きな子の話を始めたのだ。

「愛花ちゃんの好きな人って誰?」

 私の好きな人?

 私は何も答えられなかった。

「愛花ちゃんはまだ好きな人がいないんだ。でも大丈夫、きっと好きな人が現れるよ」

 そう言われてから何年経っても好きになる人は現れなかった。

 そして気づく……私は人を好きにはなれない。

 人に対して愛情が湧かない。可愛いと思っても、愛おしいとは思わない。

 親は私に優しくしてくれた。少し変わっている私でも、それが私の個性だと言ってくれるような優しい両親だった。それなのに自分は親さえも愛せない。

 何なのだろう。

 このひね曲がった性格は……つくづく親不孝でやるせない。

 高校生になると、更に回りは恋愛の話に花を咲かせる。

 疎外感しか無い。

 自分が世界からはみ出した人間のように思えた。

 早く好きな人を作らなければ……そんな変な焦りがあった。

 それでも私には好きになれる人が現れなかった。





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