今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 私はされるがままになりながら、ボーッと私の世話を焼く目の前の人を見つめた。

「あんた全然喋らないのね。私を警戒してんの?それとも気持ち悪い?」

 私は首を左右に振った。

「まあ、私達みたいな人種は嫌厭(けんえん)されるからね」

 目の前にいる人はタバコに火を付けながら軽い調子で言った。

 この人は何を言っているのだろか?

 私はこの人が言っていることの意味が分からず、ジッとタバコの火を見つめてから口を開いた。

「……おねえ(・・・)さん?だからですか?」

 そんな私の様子に、目の前のお姉さんは毒気を抜かれた様に笑い出した。

「あんた変わってるって言われるでしょう?」

 お腹を押さえながら笑うお姉さん。

「見れば分かると思うけど、私の心は乙女で体は男なの。分かる?世間一般では、はみ出し物よ」

 心と体が違う……。

 間違った存在だとでも言うようにお姉さんは笑った。

 この人は何故そんな事を言うのだろう。自分を卑下する言葉をこんなに簡単にどうして言うんだろう。それを言うなら私も一緒だ。私も世界からはみ出した人間なのだから。私とこの人は違うが、きっと根本的には世界からはみ出している。その点では一緒で同士に思えた。

 それに心と体が違うのはこの人のせいでは無い。

 だから私は思っている事を口にした。

「神様が間違ってしまったんだね。でも、あなたは……あなただ」

「くくくっ……あんた真顔でそれを言う?まったく……相当変わってるわね」



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