今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
ストーカーは愛を乞う
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私は社会人になっていた。大学で心理学を学び、カウンセラーとなった。初めは自分のアセクシャルについて学んでいくうちに、私のようにセクシュアリティで悩んでいる人が沢山いることに気づいた。そんな人達を見て、自分が寄り添える人間になりたいと思うようになった。
私が力になれるのならと……。
今日も私はゲイバー『ラビリンス』でグラスを傾けていた。落ち着いた雰囲気の中で、お洒落な音楽が耳を楽しませる。そんな中、扉が開く音がした。店内にいた数人が、扉の方へと視線を向ける。それに気づいて、店内に入ってきた男性は店にいた人達に片手をあげて挨拶すると、徹子ママに声を掛けた。
「徹子ママ、こんばんは」
「あら、久しぶりじゃない。いらっしゃい」
お店に入って来たのは『ラビリンス』の常連さんで、私も知っている人だった。
この人は確か、宝田さんとか言う名前で、結構な遊び人だ。あっちこっちに手を出してはまた此処にやって来る。愛を垂れ流している。そんな感じの人だった。
私とは真逆なこの人に興味があったから、私は名前を覚えていた。私は両肘をカウンターにつき、徹子ママと宝田が話をしているのを聞き耳を立てて聞いていた。
「ママ聞いてよ。こいつやばくてさ。今、死にそうなのよ」
死にそうとは?