今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 歩夢が話し出したのは(こじ)らせた恋愛の話だった。歩夢には大好きな恋人がいた。その人は髪が長くスタイルが良くて、少しきつめな性格だがサバサバしていて可愛い人だったらしい。恋人の話をする歩夢は少し頬を赤らめていて、ホントにその人が好きだったんだと言うことが(うかが)えた。

 こんなに愛してもらっているというのに、歩夢の彼女は何が不満だったのだろう?

 その答えはすぐに歩夢の口から聞かされた。

「僕は重たいらしい……」

 重い?

 横目で歩夢を盗み見ていると、クラフトビールのビンを持ったままカウンターに顔を伏せていた。そんな歩夢に徹子ママが声を掛けた。

「歩夢くんだっけ?えっと、あんた元カノに何したの?」

「毎日の電話とメッセージのやり取り……」

「別にそれぐらい普通でしょ」

 徹子ママの言葉に宝田が違う違うと手を振った。

「徹子ママこれ見てよ」




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