今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 そう言って宝田が歩夢のスマホを見せてきた。そこには毎日何十件もの電話とメッセージをする歩夢の履歴があった。しかもそのメッセージの長いこと長いこと……それを見た私達は背中に悪寒が走った。

 こいつやばい奴だ。

 皆が本能的にそう察した。

「こいつさ、こんなんだから想いが重すぎて、警察沙汰になるところだったんだ。会社休んでると思ったら彼女から拒絶されて、手首切って倒れる寸前のところを俺が発見してさ。一人でいさせるの危ねーからここに連れてきた」

 徹子ママの顔を見たらチーンって顔してた。

 そりゃそうだ。自殺未遂したような人間、トラブルの元でしか無い。しかしママもプロだ。すぐに顔を引き締めると、歩夢に優しく声を掛けた。

「大変だったわね。こんな所で良ければいつでも来て良いからね。話しぐらい聞いてあげるから」

 歩夢の持つクラフトビールのビンがグッと音を立てた。歩夢の体が小刻みに震えている……涙を堪えているのだろう。それを見て、愛花は何となく歩夢と話がしてみたいと思った。

 何故だろう……この人の話をもっと聞きたいと思ったのだ。


 そして……。


「歩夢くん……愛って何だろうね?」




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