今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
「あの……すみません。僕の瞳を気に入って頂いて嬉しいのですが、その……恥ずかしいので離して下さい」
顎クイされたままの状態の歩夢は、顔を真っ赤にさせ混乱しているようだ。
「ああ……ごめん。それで歩夢くんの愛ってどんななの?」
私の手から逃れた歩夢は、フーッと息を吐き出すと真剣に考えながら話し出した。
「愛……僕の愛は……相手を想い合い、尊重して……違う……ウソです。そうじゃない……ごめんなさい」
何故か歩夢が謝ってきた。
この人は何故謝ったのだろう?
そう思っていると、赤かった顔を青ざめさせながら歩夢が口を開いた。
「僕の愛は一方的だ。自分よがりで独善的で、相手の気持ちなんて考えていない。相手を無視して……僕の腕の中に囲い込んで、愛して愛して出来ることなら部屋からも出したくない。もし外を歩くなら僕がこっそり守るためについて行きたい。家にいても何があるか分からないから外から見守って、部屋の電気が消えないと帰れない。それと……」
それと何?
他にも何かあるの?