今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
「好きな人の全てを知りたいから調べ尽くして、僕が知らないことが無いようにしたい。全てを知る事で、何が好きなのか、行きたい場所や思考が分かるようになるでしょう?」
「「「…………」」」
そこにいた皆が絶句した。回りで聞き耳を立てていた人達も絶句し、ドン引きしたのかそっと私達の近くの椅子から遠い席へ移動して行った。
これは……。
私は思わずそれを言葉に出した。
「ストーカー……」
徹子ママが焦った様子で私の口を片手で塞いだ。私は「っもが」っとくぐもった声を出しながら、徹子ママを見た。すると片手で私の口を塞ぎながら、もう片方の手を口の前で「しッ」と指を立ててきた。
これ……言ってはいけないやつだったか。
でもどう聞いても、ストーカーの話だろう。
そう思い歩夢を見ると、ガクリと肩を落としていた。
「そうなんです。僕はストーカーなんです。彼女にもそう言われました。あなたの愛は気持ち悪いとも言われました」
歩夢が彼女に対し必要に追いかけ回し、ストーカーとかした歩夢を彼女が警察にでも突きだそうとしたのだろうか?
「警察沙汰になりそうだったのって、そう言うこと?」
「はい……」
「それで振られて手首を切ったと?」
私は歩夢の左手首に巻かれている包帯に視線を落とした。私の視線に促されるようにして、歩夢も自分の左手首を見た。
「バカなことをしました」
「そうだね。バカだね」
そっと包帯の巻かれた手首を持ち上げて、愛花はそこに唇を落とした。
「痛かったね。もうこんなことしちゃダメだよ」
フッと笑って歩夢を見ると、真っ赤な顔をした歩夢がブンブンと首を縦に振っていた。
そこから私達は色々な話をして、お酒も沢山飲んで夜は更けていった。