今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
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「あんたまた来たの?子供の来るところじゃないって言っているでしょう。それに、ここがゲイバーだって分かってる?」
「だって、徹子ママに会いたくて」
「そういう可愛いこと言って、怒れなくなるじゃ無い。全く、未成年をこんな所に通わせたら摘発されちゃうのよ」
「大丈夫、親にはちゃんと言って来てる」
「そう言う問題じゃ無いのよ」
そう言って怒っているのは、あの雨の日に助けてくれたお姉さん。このお店のママで、名前は徹子さんと言う。本名は徹さんなんだと聞いた。
「あんた高3で受験生でしょうが、こんな所で遊んでて言いわけ?」
「ん?大丈夫、私頭良いから」
「そう言うこと言ってると、落ちるわよ」
「そう言うこと言って、心配してくれるママが好き」
「あんたのその人たらしな言動どうにかした方が良いと思うわよ。ドキッとしたじゃない。どうしてあんたは男じゃ無いのかしらねぇ」
はぁーー。と大きく溜め息を付く徹子ママを見ながら私、神楽愛花は曖昧に笑った。
そこに一人の男性がやって来た。
「おっ、愛花ちゃん来てたのか、すっかりここの常連だな」
「バカなこと言わないでちょうだい。子供は帰る時間なのよ。ほら、コーラ飲み終わったら帰りなさい」
まるでお尻でも叩くように私はお店から追い出された。