今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 ***

「あんたまた来たの?子供の来るところじゃないって言っているでしょう。それに、ここがゲイバーだって分かってる?」

「だって、徹子(とおこ)ママに会いたくて」

「そういう可愛いこと言って、怒れなくなるじゃ無い。全く、未成年をこんな所に通わせたら摘発されちゃうのよ」

「大丈夫、親にはちゃんと言って来てる」

「そう言う問題じゃ無いのよ」

 そう言って怒っているのは、あの雨の日に助けてくれたお姉(・・)さん。このお店のママで、名前は徹子さんと言う。本名は(とおる)さんなんだと聞いた。

「あんた高3で受験生でしょうが、こんな所で遊んでて言いわけ?」

「ん?大丈夫、私頭良いから」

「そう言うこと言ってると、落ちるわよ」

「そう言うこと言って、心配してくれるママが好き」

「あんたのその人たらしな言動どうにかした方が良いと思うわよ。ドキッとしたじゃない。どうしてあんたは男じゃ無いのかしらねぇ」

 はぁーー。と大きく溜め息を付く徹子ママを見ながら私、神楽愛花(かぐらあいか)は曖昧に笑った。

 そこに一人の男性がやって来た。

「おっ、愛花ちゃん来てたのか、すっかりここの常連だな」

「バカなこと言わないでちょうだい。子供は帰る時間なのよ。ほら、コーラ飲み終わったら帰りなさい」

 まるでお尻でも叩くように私はお店から追い出された。




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