今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
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週末は『ラビリンス』で過ごすのが愛花の楽しみだった。その週末にいつの間にか歩夢が加わっていた。
「ちょっと、あんた達はどうしているの?確かにいつでも来て良いとは言ったわよ。言ったけどね……はぁぁーー」
そう声を掛けてきたのは徹子ママだ。
「どうしてって言われても……」
「ここをどこだか分かってんの?ここはゲイバーよ。ゲ・イ・バ・ーア!全くもう。女とノンケに用はない場所でしょうが」
大きく溜め息を付きながら徹子ママが言う。そんなこと言ったって、ここほど落ち着く場所は他にはない。
「徹子ママに会いに来たらダメなの?好きなのに……」
コテンと首を傾げると、「ふぐっ」と徹子ママが苦しそうな声を漏らした。
「あんたまたそう言う……母性をくすぐる感じ止めてちょうだい」
徹子ママは手のひらを額に当てながら天を仰いでいる。何だか疲れているみたいだ。
「徹子ママ疲れてる?大丈夫?」
「大丈夫よ。気にしないで。それより二人とも随分と仲良くなったわね。毎週こうやって二人で飲んでるし」