今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

「歩夢はどうしてそんな風に好意を表現できるんだ?」

「えっと、僕は……思い込みが激しくて、頭の中で色々なことを考えてしまうんです。昔から想像力は豊かな方でしたので……それが行き過ぎた状態になって、僕の中から(あふ)れ出してしまうんです。それが今の状態ですかね?」

 そう言いながら歩夢がボソリと呟いた。

「僕……気持ち悪いですよね」

「「「…………」」」

 徹子ママも回りで聞いていた人も何も言えずに、歩夢から視線を逸らしたときだった。

「ぷっ……くくくっ……あはははっ……歩夢くん……想像力豊ってレベルじゃ無いよ。あははっ……だからストーカーになっちゃうんでしょ。あはははっ、だったらその愛、私にちょうだい」

 私の口から自然とそんな言葉が出た。

「あふれ出てしまうほどの愛を私に教えてよ」

 前髪をかき分けながらフッと笑うと、歩夢の顔がぶわっと赤く染まった。

「真っ赤だね」



< 36 / 132 >

この作品をシェア

pagetop