今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 たじろぐ歩夢の首に手を添えると、熱が伝わってくる。凄いこんなに熱くなっている。少し汗ばんでいるし……。首からそっと手を滑らせ、胸の前に手をもっていくと、忙しなく心臓が動いていた。

 心臓がこんなに早く動いている。

 ドクンッ、ドクンッと音が聞こえてきそうで、黙ってその心臓の動きに耳を澄ます。平常運転の私の心臓とは違い、忙しなく動く心臓に驚きつつ、しばらくそうしているとパンッと手を叩く音が聞こえてきた。

 ハッと顔を上げると、徹子ママが両手を打ち合わせていた。

「あんた達、イチャつくなら外でやってちょうだい」

「イチャついてないよ」

「イチャついてるでしょうが、周りを見てみなさい」

 そういって周りを見渡すと、皆がモジモジとしていた。

 どういうこと?

「あんたは女のくせに行動が無駄にイケメンなのよ」

「無駄って……」

「そうでしょう?」

 はぁーーっと徹子ママが大きくため息を漏らす。

「徹子ママ最近溜め息増えたよね?」

「あんたのせいでしょうが!」



< 37 / 132 >

この作品をシェア

pagetop