今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
不機嫌な二人は愛を乞う

 *

 週末の『ラビリンス』はいつにも増して人がいた。カウンターは埋まっていて、テーブル席も空いていない。

「あんた達、来てくれたのは嬉しいけど、今日はダメね。たまには普通のデートしなさいよ」

 徹子ママにそう言われ、私達は『ラビリンス』に入って早々に外に出た。

「愛花さん、どうしましょうか?近くの居酒屋にでも行きますか?」

「んー?そうだね。お腹すいたし、居酒屋に行こう」

 私達は『ラビリンス』の近くにある居酒屋へと向かった。居酒屋の店内は『ラビリンス』とは違い、ガヤガヤと騒がしい。店員さんも発声が大事とばかりに注文に大きな声で返事をする。

「久しぶりにこういう所に来た」

「そうですね。最近は『ラビリンス』一択でしたからね」

「たまにはこういうのも良いかもね」

「はい。でも、たまにはお洒落なお店とかも愛花さんと行ってみたいです」

「お洒落なお店に行きたいの?」

「はい。今日みたいに格好いい姿の愛花さんも素敵ですけど、綺麗な格好の愛花さんも見てみたいです」

 ああ……そう言えば、歩ちゃんと一緒に出かけるときに、スカートをはいたこと無かったな。

 自分の格好に目を落とし、そんな事を思った。

「じゃあ今度は女の子の姿でデートしようか」

「お願いします」

 嬉しそうに歩夢が瞳を輝かせた。

 


 


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