今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
不機嫌な二人は愛を乞う
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週末の『ラビリンス』はいつにも増して人がいた。カウンターは埋まっていて、テーブル席も空いていない。
「あんた達、来てくれたのは嬉しいけど、今日はダメね。たまには普通のデートしなさいよ」
徹子ママにそう言われ、私達は『ラビリンス』に入って早々に外に出た。
「愛花さん、どうしましょうか?近くの居酒屋にでも行きますか?」
「んー?そうだね。お腹すいたし、居酒屋に行こう」
私達は『ラビリンス』の近くにある居酒屋へと向かった。居酒屋の店内は『ラビリンス』とは違い、ガヤガヤと騒がしい。店員さんも発声が大事とばかりに注文に大きな声で返事をする。
「久しぶりにこういう所に来た」
「そうですね。最近は『ラビリンス』一択でしたからね」
「たまにはこういうのも良いかもね」
「はい。でも、たまにはお洒落なお店とかも愛花さんと行ってみたいです」
「お洒落なお店に行きたいの?」
「はい。今日みたいに格好いい姿の愛花さんも素敵ですけど、綺麗な格好の愛花さんも見てみたいです」
ああ……そう言えば、歩ちゃんと一緒に出かけるときに、スカートをはいたこと無かったな。
自分の格好に目を落とし、そんな事を思った。
「じゃあ今度は女の子の姿でデートしようか」
「お願いします」
嬉しそうに歩夢が瞳を輝かせた。