今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 *

 居酒屋での食事が終わり会計をしていると、数人の男女がやって来て後ろから声を掛けてきた。

「あっれー?歩夢じゃん?」

「ホントだー」

 レジで支払いをしていた歩夢が振り返る。

「あっ……どうも……」

 歩夢の反応からそんなに仲が良くない人達だと気づき、私は帽子を目深にかぶり、そっと歩夢の後ろで息を殺して待つ。そんな私に気づいた男性が声を掛けてきた。

「お兄さん歩夢の友達?っていうか、歩夢に友達いたんだ?」

 くくくっ。

 くすくす。

 嫌な笑い声が聞こえてくる。

 何だろうこの人達……感じが悪い。

 お酒を飲み過ぎて気でも大きくなっているんだろうか?




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