今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
女の言葉に歩夢の目が見開き、女を凝視している。少し視線を落とすと、歩夢の手がカタカタと震えていた。そんな歩夢の肩に先ほどまで悪態をついていた男が、肩を組んできた。されるがままになっている歩夢の顔色は悪いままだ。
「お前さ、吉川が告ったのは罰ゲームだったって知ってただろう」
ニヤリと男が笑った。
嫌な笑い方だ。
歩夢と肩を組んでいた腕をほどくと、近くにいた吉川の名を呼んだ。するとねちっこい声の女が、歩夢の代わりに男の腕の中に収まった。
ああ……そう言うことか。
愛花は全てを悟った。
これは学生時代にあるいじめに近い。
吉川という女は、歩ちゃんに告白をした。しかしそれは罰ゲームだった。そして付き合う振りをして貢がせるか何かして楽しんでから歩ちゃんを捨てた。それを皆で楽しんでいる。
それは学生の乗りで、楽しんでいるのは自分達だけだ。聞いているこちらは不愉快極まりない。現にこちらを気に掛けている店員さん達は不愉快げな顔を向けている。
ホントにバカな人達だ。