今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 私は歩夢をバカにし続ける奴らの前に立った。

「あのさ……あんた達何?ホントに社会人なのか?大人になってまでこんなくだらないことよく出来るな」

「はぁ?何だよ。お兄さん、もしかして正義感振りかざしちゃう感じ?」

「別にそんな事をするつもりは無いけど」

 目深にかぶっていたキャップを少し上げて、女性陣を見た。それからフッと口角を上げる。それだけで、女性達がキャーッと悲鳴を上げた。男の腕の中にいた吉川も、愛花の顔を見て頬を染めていた。私の顔は女性達のお眼鏡にかなったようだ。

 くくくっ、そうか……これならいけそうだな。

 それなら。

「吉川さんて言ったっけ?君はこれから何処かに行くの?」

「私達はこれから二次会に行く所なんですぅ~。よかったらお兄さんも来ませんかぁ?」

()も行っていいの?彼氏が怒っちゃうんじゃ無いのかな?」

「全然大丈夫ですぅ~。お兄さんの方がタイプだしぃ」

 それを聞いた男が、吉川に向かって声を荒げた。




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