今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
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金曜日―――。
いつもなら『ラビリンス』で歩夢を待つのだが、今日は違った。
「うっわー。でっかい会社だな」
愛花は大きなビルを見上げながら、独りごちた。
今の時刻は18時を過ぎていて、この会社の退社時刻になったのか、続々とエントランスからスーツを着た人達が外に出てきていた。
さてと、そろそろ歩ちゃん出てくるかな?
私はスーツ姿の人々を目で追いながら歩夢を待つ。
歩ちゃんビックリするかな?
ここに来ることは言ってないから、驚くだろうな。
鼻歌を歌いながらその時を待っていると、前から一人の男性がやって来た。
「お前先週の野郎だよな?」
目の前に突然現れた男に驚きつつも鼻で笑ってやる。
「ふんっ、あんたか。そう言えば歩ちゃんと同じ会社なんだったな」
私の態度が気に入らないのか、イラッとした様子で口調を荒げた。
「お前のせいで俺は吉川と喧嘩になってんだぞ。別れるかもしれないってのに!」
「そうか。それはご愁傷様」