今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 *

 私は今、学校で私の背中に飛びついてきた友達とファミレスに来ている。その友達の茂呂田美沙(もろだみさ)が私の前でモジモジとしながら顔を赤らめていた。美沙は私の数少ない友達の一人だ。その彼女の様子が先ほどからおかしい。モジモジとしてはこちらをチラチラと見てくる。

「気持ち悪い」

 思わず心の声を漏らすと、美沙が声を荒げた。

「酷い!何でそんな事言うの!」

 美沙はそう言いながら瞳をウルウルと潤ませてこちらを見ている。あざとい感じが正直可愛い。普段から美沙は小動物のようにちょこちょこと動き、表情を変える。女の子の代表みたいな女子生徒だ。そんな美沙に、フッと笑いかけてから謝罪する。

「ごめん。美沙、可愛いよ」

 そっと頭を撫でると、美沙は嬉しそうに目を細めた。

 私には出来ない表情だ。

 私は美沙と違い、あまり感情を表に出さない。そんな私は中性的な顔で男性に見られることもあり、女子にモテる。回りからはクールな美形と言われ事が多い。中性的なこの顔のせいで、美沙と一緒にいると二人は付き合っているのかとよく聞かれた。回りから見ると、私達はそう言う関係に見えるらしい。今も回りを見渡せば、私達を見ている客が大勢いる。私達の関係を勘ぐっているのだろう。いやらしい目でヒソヒソと話す声が聞こえてくる。

 ああ……面倒くさいな。

 それに美沙のモジモジと顔を赤らめるこの態度も、回りを助長させる原因となっているのだろう。




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