今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
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私は今、学校で私の背中に飛びついてきた友達とファミレスに来ている。その友達の茂呂田美沙が私の前でモジモジとしながら顔を赤らめていた。美沙は私の数少ない友達の一人だ。その彼女の様子が先ほどからおかしい。モジモジとしてはこちらをチラチラと見てくる。
「気持ち悪い」
思わず心の声を漏らすと、美沙が声を荒げた。
「酷い!何でそんな事言うの!」
美沙はそう言いながら瞳をウルウルと潤ませてこちらを見ている。あざとい感じが正直可愛い。普段から美沙は小動物のようにちょこちょこと動き、表情を変える。女の子の代表みたいな女子生徒だ。そんな美沙に、フッと笑いかけてから謝罪する。
「ごめん。美沙、可愛いよ」
そっと頭を撫でると、美沙は嬉しそうに目を細めた。
私には出来ない表情だ。
私は美沙と違い、あまり感情を表に出さない。そんな私は中性的な顔で男性に見られることもあり、女子にモテる。回りからはクールな美形と言われ事が多い。中性的なこの顔のせいで、美沙と一緒にいると二人は付き合っているのかとよく聞かれた。回りから見ると、私達はそう言う関係に見えるらしい。今も回りを見渡せば、私達を見ている客が大勢いる。私達の関係を勘ぐっているのだろう。いやらしい目でヒソヒソと話す声が聞こえてくる。
ああ……面倒くさいな。
それに美沙のモジモジと顔を赤らめるこの態度も、回りを助長させる原因となっているのだろう。