今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

「おい。吉川そいつはゲイだぞ。目を覚ませ」

「ええ~。でもこうして私に会いに来てくれたしぃ~?」

 私は二人を見つめながら、冷めた口調で言い放った。

「別にあんたに会いに来たわけじゃ無い。あんた醜いんだよ。見た目も心も全てが醜すぎる」

 吉川は自分の容姿に自信があったのだろう。醜いと言われて絶句している。私達の様子を見ていた酒賀部長が、大きく溜め息を付き私を見た。

「どうやら君は巻き込まれただけのようだね」

「そうですね。酒賀さん、あんたももう少し人を見る目を養った方が良いですよ。それじゃあ、この人達の躾け(・・)をお願いしますね」

 躾け(・・)と言う言葉に、カッと頭に血を上らせた塚田は拳を握りしめると、勢いよくその拳をこちらに向けてきた。私は塚田の拳を避ける気は無く、そのまま目を閉じた。バシンッと皮膚を打つ音がする……が、痛みは全くない。そっと目を開けると、歩夢が塚田の拳を受け止めていた。

「愛花さん大丈夫ですか?」

「歩ちゃん……」

 拳を受け止める覚悟をしていた私は、ホッと息を吐き出した。

「歩夢てめぇー!そこをどけ!そいつをぶっ飛ばしてやる」

 塚田はここが自分の会社であることも忘れてしまったのか、汚い言葉をまき散らし続ける。

「ゲイのお二人さん、良くのうのうと外を歩けるな。気持ち悪いんだよ。歩夢、お前もう会社に来るな。お前の顔を見るだけで吐き気がする。キモいストーカーゲイ野郎」




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