今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 私は大きく息を吸い込むと、真っ直ぐに前を向き塚田を睨みつけた。

「塚田さんあんたが何を勘違いしているのか知らないが、私も歩ちゃんもゲイじゃ無い」

「はははっ、今更取り繕ったって遅いんだよ。キスしてただろうが!」

「ああしていたな。まあ、私達は付き合っているからな」

「やっぱりゲイじゃないか」

「はぁー。面倒くさいな。じゃあこれでどうだ?」

 私はそう言って、かぶっていた帽子を取り、束ねていた髪をほどいた。長く黒い髪がパサリと落ち、女性である顔を見せながらニッコリと笑うと、周りからどよめきが広がった。  

 一応美人の部類に入る方だからね、この顔は。

「塚田さんに、吉川さんだったっけ?いつも絡んでくるのはそちらからですよね?どっちがストーカーなんだか……これ以上付きまとうのは止めて下さい。私には歩ちゃんだけだって言いましたよね?」

 私の言葉を聞いた回りの人々が、ヒソヒソと何かを話し出した。これで勝手に噂は広まるだろう。

 形勢逆転だ。

 さあ、塚田くんと吉川さんはどう出るのかな?




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