今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
「美沙ごめん。話しを早くしてくれる?」
なおもモジモジする美沙に苛立ちを抑えながら話の先を促す、すると美沙が両手に力を込めるのが分かった。
「私、彼氏が出来た」
なんだそう言うことか。
「良かったね……?」
「待って、愛花それだけ?しかも疑問形!」
「ん?頑張れ……?じゃないのか……おめでとう?」
美沙の言う「それだけ?」の意味が分からず、首をコテンと傾けた。
「もう!普通は彼氏について聞くでしょ!顔とかクラスとか身長とか、友達の彼氏が気にならないの?」
「ああ……普通はそう言うものなのか?」
「そう言うものなんです。って言うか、私が話したいの!」
「はぁ……、じゃあどうぞ」
右手を前に出しながら美沙に話の続きを促すと、ぷくっと頬を膨らませた。
「愛花は恋をしたことが無いから仕方ないけど、ちょっとクールすぎるよ」
恋をしたことが無い……。
その言葉に私は一瞬だけ動きを止めてしまった。しかし美沙はそれに気づくこと無く、嬉しそうに微笑んだ。
「愛花も恋をしたら平常心じゃいられなくなると思うよ。そのクールな顔がどんな風になるのか楽しみ」
美沙はそう言うとふふふっと笑った。
私神楽愛花は恋をしたことが無い……。
私は高校三年生だ。普通ならこの年になれば恋の一つや二つしているのだろう。しかし私は恋をしたことが無い。誰かに恋をしてハッピーな日々を送りたいが、私にはムリなんだ。
ダメなんだよ。
私は恋が出来ない。
出来ないんだよ……。