今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 その瞬間、俺の体がブワッと震えた。足先から頭のてっぺんまで血が駆け巡り、全身から汗が噴き出すような感覚を覚えた。僕は今真っ赤な顔をしているだろう。

 何だろう。

 これはお酒のせいだろうか……。

 僕は更にお酒をあおりながら、色々な話をした。



 朝になった――――。

 良い匂いがする。

 その匂いに煽られて、お腹がぐぅーっと音を立ててなった。その音に混じって可愛らしい鼻歌が聞こえてくる。

 えっ……?

 飛び起きて台所に向かうと、髪の長い女性が朝ご飯を作っていた。僕のシャツを着て足を晒した姿は妖艶で美しく、息を呑んだ。こんなことが起きるなんて……夢にまで見た朝の光景。彼女が出来たらこんな朝を迎えたい。何度そう思っただろう。

 しかし、目の前にいる人に僕は見覚えがない。

 まさかお酒の勢いで連れ帰ってしまったのだろうか。まさか体の関係が……?僕はそっと下半身を見るが分からない。全く記憶が無い。




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