今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う
初めこそぎこちなかった私達だが、二時間もすれば昔からの友達だったかのように仲良くなった。名前の呼び方も、愛花ちゃんと虎ちゃんになり何やら良い雰囲気だと察した、こうくんと美沙が何処かへ消えた。
お節介だな。なんて思いながら虎ちゃんの隣を歩く。
「愛花ちゃんは美沙ちゃんから俺の気持ちを聞いていると思うけど、言わせて欲しい。俺、始めて愛花ちゃんを見たときから好きでした。一目惚れなんだ。俺と付き合って下さい!」
体育会系の大きな声で、虎ちゃんが頭を下げて手を差し出した。ザワつくショッピングモール内。こんな所でこの人は何をやってくれるんだと思いながらも、虎吉からの好意は嫌では無かった。ここに来てからの数時間で虎吉の優しい所や気遣いの出来る所を好ましく思った。だから私は正直に答えた。
「私は虎ちゃんの存在に気づいたばかりで……その、まだ虎ちゃんを好きには……でも、嫌いでは無いんです。お友達からではダメですか?」
私の言葉に、虎ちゃんがガバッと顔を上げた。
「良いです!友達からで良いのでよろしくお願いします!」
「はい。よろしくお願いします」
二人して頭を下げると、ショッピングを楽しんでいた人達から拍手が沸き起こった。そして回りから祝福の声が飛んでくる。「良かったわね」「頑張れよ」「仲良くね」そんな言葉に、私達は恥ずかしくなって、顔を赤らめたのだった。
そんなショッピングモールでの出来事から数日、私、虎ちゃん、美沙、こうくん、の四人で過ごすことが多くなった。
「あっ見てみて!あそこの先輩達、素敵すぎる」
「ホントだ。いいなー。羨ましい」
見た目の良い私達は、回りから憧れられるようになっていた。絵に描いたような青春……そう見えるのだろう。今日も四人で大学受験に向けて勉強中だ。勉強を始めて二時間が過ぎた頃に、休憩を入れる。