婚約者候補は辞退させてくださいませっ!
神官長は何やらぶつぶつと呟いていた。



「マリーベル様、至急迎えの馬車を呼びましょう」

「待つのだ、ニコライ。マリーベル嬢、なに、心配することはありませんぞ。ニコライ、至急騎士団へ報告を。
マリーベル嬢には護衛をおつけするのだ。」


「神官長、マリーベル様を引き留めるのですか?」

「せっかく神殿へ来られたのだ。マリーベル嬢ももう少し様子を見られてはどうかな?」


「そうですわね。私は…
もう少しこちらにいたいです」


花が置かれていたことに対して、不気味ではあったけれど、直接何かされたわけではない。

なぜあんなことがあったのか、気になるし、それにやっと面倒な煩わしさから解放されたこともある。

どうしても、このまま留まりたい気持ちの方が強かった。



「マリーベル嬢もこうおっしゃっている。ニコライ、護衛が来るまではお前がお守りしろ。分かったな。」


「ですが神官長!。
はぁ…マリーベル嬢、仕方がありません。ひとまず退室しましょうか」


「はい、失礼します。神官長さま」

マリーベルは挨拶をした後、ニコライと共に退室した。

「とりあえず、マリーベルさまの部屋に戻りましょう。その前に、騎士団へ報告に誰か向かわせましょう」

「はい。分かりました。よろしくお願いします。」

ニコライは神官を呼び止めて、騎士団へと報告へ向かうよう指示していた。


「それには及びません。お久しぶりです。マリーベルさま」

ぞろぞろと数名の騎士と共に、見たことのある男性が近づいてきていた。


あの方は━━










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