婚約者候補は辞退させてくださいませっ!

21ニコライ視点

「それで?お話しとは?」


部屋に残したマリーベル様が心配だ。
今まで、安全だと思われていた神殿。 
このような神聖な場所に侵入者など、世も末だな。

とにかく、ビル殿との話を切り上げて一刻も早く戻ろう。


「ニコライ殿、何事にも動じないあなたにしては、随分と焦っておられるようですが。入口までゆっくり歩きしょう」


ビル殿は、何を考えている?

「それにしても、アーサー様のお側から離れて、わざわざビル殿自らがこちらへ来られるなど、珍しいですね。
何か今回の件について、重大な秘密でもあるのでしょうか。」

「秘密だなんて。アーサー様は、常に国民の安全を願っておりますので。それは、神殿に関しても例外ではありません」

「そうですか。」

これは、何かあるな


「それはそうと、ニコライ殿は随分とマリーベル様を気にかけておられるようですね。」

「どういう意味でしょうか?
私は、マリーベル様に神殿で快適に過ごしていただけるように、当然のことをしているまでですが。」

ビルは、表情を一切変えずにずに淡々と言葉を続ける。

「だとよいのですが。
これは、あくまで単なる知人として、ご忠告させていただきます。」

そう言うと、ビルは立ち止まりニコライを真っ直ぐに見つめた。

「これ以上、マリーベル様に関わらないように。特別な感情を持つ前に離れなさい。

あぁ、もうここで結構です。では、またお会いしましょう。ニコライ殿」


「……それはどういう?」

言いたいことだけ言うと、ビルは去って行った。

特別な感情? 何を言っているんだ。


マリーベル様とは、まだ知り合って間もないのに。 確かに放っておけない方ではあるが。

ビル殿は何を勘違いされてるのか。

とりあえず、戻ろう。
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