婚約者候補は辞退させてくださいませっ!
22アーサー視点
「失礼します。アーサー様ご報告が」
神殿から、戻ってきたか。
マリーベルがどうしていたのか、今すぐにでも詳しく聞きたい
はやるきもちを抑えて、何でもない風を装う。
「ビル、例の件のことか?」
「はい。」
ビル以外の者を、部屋から下がらせる。
皆が出て行くのを確認すると、ビルが傍に近づいてきた。
執務机の上に両肘を置き、組んだ手の甲に顎を乗せてビルへ問いかける。
「それで?無事に入り込めたか?」
「はい。マリーベル様のお側に、専属の護衛騎士を2名配属致しました。
今後は、マリーベル様の状況を逐一報告できるかと。」
「そうか、ご苦労だった。これで少しは安心できるな。」
「……」
何の返答もしないビルの様子を、怪訝に思う。
「ん? どうしたビル、何か言いたいことがありそうな顔をしているな」
「━━アーサー様。安心するのは早急かと。
単刀直入に申し上げます。
実は、神殿に勤めるニコライ殿が、マリーベル様に懸想しているものかと思われます」
「はぁ⁉︎ な、なんだと! ニコライとは誰だ⁉︎
クソッ‼︎ やはり、マリーベルを神殿に行かせるべきではなかった。
マリーベルは私のものだ!
いったい私が何年想い続けていると思ってる?
そんなぽっと出てきた奴に奪われてたまるか!
こうなったら、閉じ込めてマリーベルに誰も近づけないようにするべきか…」
組んだ手を解き、
机に置いたペンを思わず握る。
怒りのあまり、ポキッとペンが真っ二つに折れる。
「アーサーさま、ニコライ殿は元はカーギル家に縁のある方です。
訳あって、現在はハリスン伯爵家に世話になっているようですが。
あまり関わることがありませんでしたが、学園の同期生です。
なかなかの好青年で、ご令嬢にも人気の方だとか。そのお姿に見惚れる方も多いと聞きます」
「なんだと? 同期だと?
それなりに把握しているつもりだったが、あまり記憶にないな。
ミシェルの身内のニコライ……
敢えて私を避けていたか
もしかして……マリーベルの好みなのか?」
「さぁ、そこまでは。マリーベルさまのお気持ちは、分かりかねます。」
ショックのあまり、ガンガンと机に額を何度も打ちつける。
「……マリーベル……どうしてだ……」
アーサー様、それと、またあの時の女性を見かけました。神殿に侵入しようとしていたと思われます。声をかけようとしたのですが、中々に用心深く、逃げられまして……アーサ様? はぁ、聞いていませんね。ご報告はしましたよ。それでは失礼致します。」
「マリーベル……私の……私の……」
アーサーの悲痛な呼び声と、額を打ちつける音がしばらく執務室に響いていた。
神殿から、戻ってきたか。
マリーベルがどうしていたのか、今すぐにでも詳しく聞きたい
はやるきもちを抑えて、何でもない風を装う。
「ビル、例の件のことか?」
「はい。」
ビル以外の者を、部屋から下がらせる。
皆が出て行くのを確認すると、ビルが傍に近づいてきた。
執務机の上に両肘を置き、組んだ手の甲に顎を乗せてビルへ問いかける。
「それで?無事に入り込めたか?」
「はい。マリーベル様のお側に、専属の護衛騎士を2名配属致しました。
今後は、マリーベル様の状況を逐一報告できるかと。」
「そうか、ご苦労だった。これで少しは安心できるな。」
「……」
何の返答もしないビルの様子を、怪訝に思う。
「ん? どうしたビル、何か言いたいことがありそうな顔をしているな」
「━━アーサー様。安心するのは早急かと。
単刀直入に申し上げます。
実は、神殿に勤めるニコライ殿が、マリーベル様に懸想しているものかと思われます」
「はぁ⁉︎ な、なんだと! ニコライとは誰だ⁉︎
クソッ‼︎ やはり、マリーベルを神殿に行かせるべきではなかった。
マリーベルは私のものだ!
いったい私が何年想い続けていると思ってる?
そんなぽっと出てきた奴に奪われてたまるか!
こうなったら、閉じ込めてマリーベルに誰も近づけないようにするべきか…」
組んだ手を解き、
机に置いたペンを思わず握る。
怒りのあまり、ポキッとペンが真っ二つに折れる。
「アーサーさま、ニコライ殿は元はカーギル家に縁のある方です。
訳あって、現在はハリスン伯爵家に世話になっているようですが。
あまり関わることがありませんでしたが、学園の同期生です。
なかなかの好青年で、ご令嬢にも人気の方だとか。そのお姿に見惚れる方も多いと聞きます」
「なんだと? 同期だと?
それなりに把握しているつもりだったが、あまり記憶にないな。
ミシェルの身内のニコライ……
敢えて私を避けていたか
もしかして……マリーベルの好みなのか?」
「さぁ、そこまでは。マリーベルさまのお気持ちは、分かりかねます。」
ショックのあまり、ガンガンと机に額を何度も打ちつける。
「……マリーベル……どうしてだ……」
アーサー様、それと、またあの時の女性を見かけました。神殿に侵入しようとしていたと思われます。声をかけようとしたのですが、中々に用心深く、逃げられまして……アーサ様? はぁ、聞いていませんね。ご報告はしましたよ。それでは失礼致します。」
「マリーベル……私の……私の……」
アーサーの悲痛な呼び声と、額を打ちつける音がしばらく執務室に響いていた。