婚約者候補は辞退させてくださいませっ!
34
「ニコライ様、マリーベル様を返してくださいませ!」
「ちょっと、エレナ?」
エレナは強引にニコライからマリーベルを抱きしめ奪還した。
まるで騎士がお姫様をまもるような仕草だった。
「エレナ!あぁ、やっぱりエレナがいると安心するわ。こうしてまた一緒にいられて嬉しい!」
「マリーベルお嬢様、何とお優しいお言葉を!何度も侵入を試みたのですが、獰猛な犬達にいつも邪魔されて……特に眼鏡をかけたあの……」
「え?エレナ、あなた神殿に忍び込もうとしていたの?犬って、大丈夫?どこか怪我はしていない?」
マリーベルは心配そうにエレナの全身を観察する。
「マリーベル、おそらく彼女は私たちよりも頑丈ですよ、それにきっと犬というのもマリーベルの想像している犬とは違いますよ。」
「違う犬?そ、そうなのね、ごめんなさい、まだまだ世間知らずで。」
「大丈夫です」
「お嬢様はそのままで」
ニコライとエレナは同時に発言した後、二人は何かを探るような目線を交わす。まるでお互いを牽制するかのように。
「エレナと私も呼ばせてもらってもいいよね?まだマーティン侯爵には正式なご挨拶に伺えていないけれど、私はマリーベルの夫になるのだから。」
「えぇ、お好きにお呼びください。ニコライ様。まだ、正式に決まった訳でもないのに、お嬢様に触れるのはやめていただけますか!お嬢様のことは私たちがお世話致しますので!」
ニコライは、エレナの後ろにいるマリーベルに手を差し伸べる。まるでエレナに言われた事など気にもとめずに。
「マーティン侯爵にも一度はっきりとお伝えしようと思っていました。エレナ、あなたは本当にマリーベルのことを大切に思っているのですか?」
「旦那様まで侮辱するのですか‼︎ いくらニコライ様でもお言葉がすぎますよ」
「言葉が足りなかったようですね、失礼。ただ私が言いたかったのは、そこにマリーベルの意志はあるのですか?あなた達がマリーベルの為と言っていることは、全て勝手に自分達が決めつけていることではないのですか? 私は噂を信じていません。これでもそれなりの情報網は持っているのですよ。
あなた達の行き過ぎた愛情は、単なる過保護というよりも、マリーベルのおおきな可能性を潰しているのですよ! マリーベルには自分の意志がある。もう子供ではないのですから。子供でさえ意志はあるでしょう?
助けを求められた時に手を差し伸べることが、大切なのでは?
ねぇ、マリーベル? あなたはどうしたいですか? このままエレナの言う通りに、私と距離を置きたいですか?」
ニコライは毅然とした態度でエレナに接していた。けれどマリーベルに向けられた表情は慈しむような愛情の籠った眼差しだった。
「わたっ、私は……」
マリーベルは一旦言葉を区切ると、エレナとまっすぐに向き合い言葉をかける。
「エレナ、いつも心配してくれてありがとう。でも、大丈夫よ。私は……ここに来てから、ニコライ様に出会えて、世界が広がった気がするの。今まで何も見えていなかった、考えることもなかった。
ニコライ様と過ごすうちに、ただ一緒にいるだけなのに、心が満たされるの。今まで何不自由なく暮らしていたのに、その時に感じることができなかった気持ち。
いつもありがとう、エレナ。私、沢山の人達に支えられている。でも、これからは、自分でできることは自分でしたいの。
エレナも大切な家族よ。だから、これからはニコライ様と歩む私を、見守ってほしい、だめかしら?」
「お、お嬢様、ご立派になられて……分かりました。今日の所は失礼します。ニコライ様、マリーベル様を少しでも悲しませるようなことがあったら、許しませんからね!」
エレナは瞳を潤ませながら、足早に立ち去った。
「ちょっと、エレナ?」
エレナは強引にニコライからマリーベルを抱きしめ奪還した。
まるで騎士がお姫様をまもるような仕草だった。
「エレナ!あぁ、やっぱりエレナがいると安心するわ。こうしてまた一緒にいられて嬉しい!」
「マリーベルお嬢様、何とお優しいお言葉を!何度も侵入を試みたのですが、獰猛な犬達にいつも邪魔されて……特に眼鏡をかけたあの……」
「え?エレナ、あなた神殿に忍び込もうとしていたの?犬って、大丈夫?どこか怪我はしていない?」
マリーベルは心配そうにエレナの全身を観察する。
「マリーベル、おそらく彼女は私たちよりも頑丈ですよ、それにきっと犬というのもマリーベルの想像している犬とは違いますよ。」
「違う犬?そ、そうなのね、ごめんなさい、まだまだ世間知らずで。」
「大丈夫です」
「お嬢様はそのままで」
ニコライとエレナは同時に発言した後、二人は何かを探るような目線を交わす。まるでお互いを牽制するかのように。
「エレナと私も呼ばせてもらってもいいよね?まだマーティン侯爵には正式なご挨拶に伺えていないけれど、私はマリーベルの夫になるのだから。」
「えぇ、お好きにお呼びください。ニコライ様。まだ、正式に決まった訳でもないのに、お嬢様に触れるのはやめていただけますか!お嬢様のことは私たちがお世話致しますので!」
ニコライは、エレナの後ろにいるマリーベルに手を差し伸べる。まるでエレナに言われた事など気にもとめずに。
「マーティン侯爵にも一度はっきりとお伝えしようと思っていました。エレナ、あなたは本当にマリーベルのことを大切に思っているのですか?」
「旦那様まで侮辱するのですか‼︎ いくらニコライ様でもお言葉がすぎますよ」
「言葉が足りなかったようですね、失礼。ただ私が言いたかったのは、そこにマリーベルの意志はあるのですか?あなた達がマリーベルの為と言っていることは、全て勝手に自分達が決めつけていることではないのですか? 私は噂を信じていません。これでもそれなりの情報網は持っているのですよ。
あなた達の行き過ぎた愛情は、単なる過保護というよりも、マリーベルのおおきな可能性を潰しているのですよ! マリーベルには自分の意志がある。もう子供ではないのですから。子供でさえ意志はあるでしょう?
助けを求められた時に手を差し伸べることが、大切なのでは?
ねぇ、マリーベル? あなたはどうしたいですか? このままエレナの言う通りに、私と距離を置きたいですか?」
ニコライは毅然とした態度でエレナに接していた。けれどマリーベルに向けられた表情は慈しむような愛情の籠った眼差しだった。
「わたっ、私は……」
マリーベルは一旦言葉を区切ると、エレナとまっすぐに向き合い言葉をかける。
「エレナ、いつも心配してくれてありがとう。でも、大丈夫よ。私は……ここに来てから、ニコライ様に出会えて、世界が広がった気がするの。今まで何も見えていなかった、考えることもなかった。
ニコライ様と過ごすうちに、ただ一緒にいるだけなのに、心が満たされるの。今まで何不自由なく暮らしていたのに、その時に感じることができなかった気持ち。
いつもありがとう、エレナ。私、沢山の人達に支えられている。でも、これからは、自分でできることは自分でしたいの。
エレナも大切な家族よ。だから、これからはニコライ様と歩む私を、見守ってほしい、だめかしら?」
「お、お嬢様、ご立派になられて……分かりました。今日の所は失礼します。ニコライ様、マリーベル様を少しでも悲しませるようなことがあったら、許しませんからね!」
エレナは瞳を潤ませながら、足早に立ち去った。