婚約者候補は辞退させてくださいませっ!
40
お互い隙がなく、しばらく無言で対峙する。
先手を切ったのは、アーサーだった。
「ニコライ!」
アーサーの放つ切先を表情一つ変えずにニコライは受け止める。
「アーサー殿下と言えども、手加減は致しません!」
二人の力は拮抗していた。
どちらかが切り込んでも、相手が防御し、振り払う。カキンカキンと剣の擦れ合う音が響いていく。
「ニコライ!お前なんかにマリーベルを渡すものか!身分に関しても全てにおいて私の方が勝っている」
「随分な差別発言ですね、身分に関しては確かにそうかもしれません。
ですが、あなたといてマリーベルが幸せになれるとは思えません!
例え身分があっても、窮屈な生活を強いらせることになる。
私ならマリーベルの望みに耳を傾けることができます。
誰よりもマリーベルの気持ちを優先するからです。
貴方は今までマリーベルの何を見てきたのですか? 怯えている姿だけではないのですか?私なら怖がらせたりしない!」
「私は怖がらせてなど──」
「そこまでです!」
「っ!」
動揺したアーサーにニコライは素早く詰め寄り、アーサーの剣をその手から振り落とした。
喉元に剣先を突きつけるニコライの瞳には、いまだ怒りの灯火が見える。
「──私の……負けだ……」
アーサーは苦悶の表情を浮かべながら、降参した。
「マリーベル……」
切なげな表情でマリーベルを見つめるアーサーから隠すように、ニコライはマリーベルの前に立つ。
「約束です。お引き取りを」
「分かった。皆、撤収だ。」
アーサーは項垂れた様子で騎士達と共に退室した。
アーサー様はどうして哀しそうな顔をしているの?
眉間に皺をよせていないアーサーを見たことに驚いたマリーベル。
まるで、私のことを大切に想っているのではないかと、勘違いしてしまいそうになる。
「そんなに他の男性を見つめるなんて、妬けますね、マリーベル、私を煽ってあるのですか?」
アーサーの後ろ姿を呆然と見送るマリーベルを、ニコライは抱き上げる。
「ニコライ様、そ、そんな、煽ってなど……。あぁ、ニコライ様ご無事で良かったです!」
マリーベルはニコライの首に手を回して、力の限り抱きつく。
先手を切ったのは、アーサーだった。
「ニコライ!」
アーサーの放つ切先を表情一つ変えずにニコライは受け止める。
「アーサー殿下と言えども、手加減は致しません!」
二人の力は拮抗していた。
どちらかが切り込んでも、相手が防御し、振り払う。カキンカキンと剣の擦れ合う音が響いていく。
「ニコライ!お前なんかにマリーベルを渡すものか!身分に関しても全てにおいて私の方が勝っている」
「随分な差別発言ですね、身分に関しては確かにそうかもしれません。
ですが、あなたといてマリーベルが幸せになれるとは思えません!
例え身分があっても、窮屈な生活を強いらせることになる。
私ならマリーベルの望みに耳を傾けることができます。
誰よりもマリーベルの気持ちを優先するからです。
貴方は今までマリーベルの何を見てきたのですか? 怯えている姿だけではないのですか?私なら怖がらせたりしない!」
「私は怖がらせてなど──」
「そこまでです!」
「っ!」
動揺したアーサーにニコライは素早く詰め寄り、アーサーの剣をその手から振り落とした。
喉元に剣先を突きつけるニコライの瞳には、いまだ怒りの灯火が見える。
「──私の……負けだ……」
アーサーは苦悶の表情を浮かべながら、降参した。
「マリーベル……」
切なげな表情でマリーベルを見つめるアーサーから隠すように、ニコライはマリーベルの前に立つ。
「約束です。お引き取りを」
「分かった。皆、撤収だ。」
アーサーは項垂れた様子で騎士達と共に退室した。
アーサー様はどうして哀しそうな顔をしているの?
眉間に皺をよせていないアーサーを見たことに驚いたマリーベル。
まるで、私のことを大切に想っているのではないかと、勘違いしてしまいそうになる。
「そんなに他の男性を見つめるなんて、妬けますね、マリーベル、私を煽ってあるのですか?」
アーサーの後ろ姿を呆然と見送るマリーベルを、ニコライは抱き上げる。
「ニコライ様、そ、そんな、煽ってなど……。あぁ、ニコライ様ご無事で良かったです!」
マリーベルはニコライの首に手を回して、力の限り抱きつく。