婚約者候補は辞退させてくださいませっ!

触れてほしいのは貴方だけ

✳︎✳︎✳︎

神殿に帰りついたマリーベルは、早々に浴室へと向かった。


一刻も早く身体を洗い流したかった。

一人で入浴するのも、手際よくなってきた。


「気持ちいい……」


すっきりとした気分で夜着に着替え終わると、今度はどっと疲れが押し寄せてくる。

今日はもう休みましょうとベッドへ向かおうとした時、扉がノックされて、ニコライが入室してくる。

「ニ、ニコライ様?鍵をかけ忘れたのでしょうか」

「ふふふ、いいえ、マリーベルがかけ忘れることのないように、合鍵を作りました。事後報告となりますが怒らないでくださいね。では、一緒に寝ましょうか、マリーベル」


ニコライは驚くマリーべルを抱き上げるとベッドへと連れて行く。

「あ、あ、あのニコライ様、そんなに密着されましたら、落ち着かないですっ!」


「大丈夫です、すぐに慣れますから。マリーベル、もう、誰にも手を出させません!

貴方の過去も、今もそしてこれからも、どうか全てを私にくださいませんか?」

ニコライはベッドの上でマリーベルを抱きしめ、耳元で囁く。

「はい……どうやって差し上げればいいのか分かりませんが、私もずっとこれからもニコライ様と一緒にいたいです。ニコライ様、大好きです。んっ」


マリーベルの言葉はニコライの口によって塞がれる。

緊張と恥ずかしさから、身体が硬くなっていたマリーベルは、ニコライの口づけにより解されていく。

もっと、してほしくて強請るようにマリーベルは身を寄せる。

その仕草を受け入れるように、ニコライはマリーベルへ覆い被さる。

ニコライを見上げるマリーベルは、全てを委ねたいと切実に思う。

あぁ、やっぱり触れてほしいのはニコライ様だけ


「マリーベル、愛しています!」


ニコライはマリーベルへ、自身を受け入れてもらうべく優しくほぐしていく。

マリーベルは、ニコライの気持ちごと受け入れるように開かれて行った。

「ニコライ様、私も…愛しています」


二人は幾度となくお互いの想いを確かめ合い、幸せな夜を過ごした。

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