婚約者候補は辞退させてくださいませっ!
屋上に設置されている鐘を鳴らしながら、叫んでいる人物がいる。
「マリーベル! マリーベル!、どうか、どうか、くっそー、なんでだー!」
「アーサー様、結婚式を潰す気ですか!」
「私以外との結婚式なんて中止にしろー!」
「アーサー様!とりあえずその手を止めてください!うるさいので」
「ビル! お前に何が分かる!」
「お忘れですか?式には国王陛下も来られることを」
「うっ!」
「ビル様、ここは私にお任せください。」
鐘の音にかき消されないように、大声で話しながらミシェルが近づいてくる。
「ミシェル様、では、宜しくお願い致します」
「お互いに大変ね、本当に。
アーサー様!
誰かさんの婚約者候補になっているせいで、エスコートしてくださる相手が見つかりませんの。
父や兄達が来るわけもないでしょう?
私が参加することにも渋々目を瞑っているという感じですのに……。だから、表立って参加出来ないもの同士、責任持ってエスコートしてくださいませね?」
「ぐぬ……ミシェルも来てたのか……ニコライ……お前はあいつの義妹、裏切り者め」
「女々しいですわね、えぇ、えぇ何とでもおっしゃってくださいな。私は、お兄様がだーいすきですもの。 お兄様は大人ですから、こーんな子供みたいなことはしませんわ、というか、国の未来が心配になってきましたわ」
「私はっ、子供ではない、ちょっとした余興を行っていただけだ!これはっ、そう、余興だ、さて、では行こうか、ミシェル」
「はいはい、では参りましょう。仕方ありませんね。このながーい階段を降りなければなりませんけれど。急ぎましょう」