冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
八年前の幸せ


「恋は盲目って言葉の意味がわかった気がする」

 極上のベッドの上で天井を見上げながら言うと、六歳年上の恋人、筑波(つくば)藍(あい)斗(と)さんがふっと笑った気配がした。

「どういう意味なんだ?」

 覆いかぶさってきた藍斗さんがそっと唇を重ねてくる。

 くすぐったさに身をよじりながら、ベッドの上でだけ見せる甘い笑みに酔いしれた。

 癖のある黒髪は微かに青みがかっていて、普段の無愛想な表情をより冷たく見せる。切れ長の目はすっきりと涼しげで、流し見られるだけでも胸が騒いだ。

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