お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
「お互いにまた会えたのがうれしくなって、ついいろいろすっ飛ばしちゃったの。ごめんね」

 あくまで再会を喜んだ元恋人同士が意気投合し、もう一度やり直したのだというスタンスでいく。

 これなら両親は、いい年をしてなにをしているんだと呆れることはあっても、そんな結婚で大丈夫かと心配することにはならないはずだ。

 案の定、父は苦笑している。母はまだ藍斗さんを見つめてぼうっとしていた。

 目を離せなくなる気持ちはよくわかるから、なにも言えない。

「先に言ってほしかったのはあるけど、まあ、結婚は当人同士のことだしな。ちゃんと幸せになれるって円香が判断したなら……」

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