お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 どう言えばいいかわからずうつむいていると、再び藍斗さんが尋ねてくる。

「二千万というのは、借金の総額か?」

「……うん。正確には三千万。そのうち私の貯金から五百万は返せるから、両親にもちょっと頑張ってもらってもう五百万。残りは副業で少しずつ返すつもりだった」

「そんなに割のいい副業があるか。何十年働くつもりだったんだ。二十六歳にもなって計算もできないのか?」

「あなたは経営者だから知らないかもしれないけど、結構いろいろあるんだよ。きれいなドレスを着てお客さんと喋るだけの仕事とか」

 それがどういう仕事かはわかっているけれど、なにも知らないとは思われたくなくてムキになる。

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