お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 だいたい、私が何十年どこでどう働こうと藍斗さんには関係ないはずだ。なのにどうしてそんな言い方をされなければならないのか。

 てっきり、『たしかにそういう手段もあるが』という話になるかと思ったのに、なぜか藍斗さんは黙ってしまった。

 信じられないものを見る目で私を見つめ、すぐ眉間に皺を寄せる。

「自分がなにを言っているかわかっているのか? 本気でただ喋るだけの仕事だと思っているんじゃないだろうな」

「そんなの当たり前でしょ。私だって子どもじゃないの」

 幾分トーンダウンしたことに戸惑いながら言う。

< 104 / 271 >

この作品をシェア

pagetop