お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 また首筋を吸われ、びくりと身体が跳ねた。

 藍斗さんは私を押さえつけたまま、何度も肌に痕をつけて私を追い詰める。

 じたばたと足を動かして抵抗するも、足の間に膝を入れられて動けなくなった。

 そうしている間に、藍斗さんの手が服の中に入ってくる。

「ひっ……や、ぁ」

 火傷しそうなほど熱くなった指で直接肌を撫でられ、引きつった声が出た。

 腰のあたりをくすぐられただけで、自分が自分でなくなるほど甘い快感に支配される。

 八年間どころか、生まれてからずっと彼以外に開かなかった身体が、ずっと望んでいた熱を受け入れようと準備を始めていた。

 それなのに、心だけが追いついてこない。

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