お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 優陽がなにか言い忘れたんだろうか、と画面を確認すると母の名前が書いてある。

 こんな時間に?と訝しみながら電話に出た。

「もしもし。お母さん、こんな時間にどうしたの? いつもならとっくに寝てる時間じゃ……」

『大事な話があるの』

 張り詰めた声がして、ただ事ではなさそうだと背筋を伸ばす。

『うちで借金を返さなくちゃいけないことになったの。お父さんが友だちの連帯保証人だったんだけど、連絡がつかなくなったみたいで』

「そんな……。どのくらい返さなきゃいけないの?」

『……三千万』

「さ、さんぜ……!?」

 想像もしていなかった金額を聞いて、咄嗟に理解できなかった。

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