冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 俺が円香に抱く感情は、重くて苦しい。彼女にどんなに傷つけられようと焦がれるのをやめられない。求めているなどというかわいらしいものではなく、渇望していると言っていいほど激しく欲している。

 俺はただ、また彼女にそばで笑ってほしいだけだ。

 なのに泣かせてしまった。

 ゆっくり息を吐き、円香が起きないようにそっと離れる。

 それを嫌がったのか、円香は首をゆるゆると左右に振って俺の服を掴んだ。

 愛おしくて、どうにかなってしまいそうだ。

 服に絡む指を外し、もう一度抱き締めてキスしたい気持ちを必死に抑え込んで今度こそ彼女と距離を取る。

 たとえ一度だろうと、彼女を泣かせた俺がまた触れるわけにはいかない。

 今夜の償いとして、もしも彼女が望んだらどんな願いも叶えようと心に決める。

 円香になら、俺はたとえ命を要求されても差し出せるだろう。

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