冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
白すぎる結婚生活

 あの日以来、藍斗さんは私に近づかなくなった。

 目を覚ました私に『昨夜は悪かった。二度とあんな真似はしない』と押し殺した声で告げ、それきり言葉を交わすどころか、目も合わせなくなったのだ。

 たしかにあの夜の藍斗さんはどうかしていたと思う。

 冷静な彼らしくない振る舞いだったし、私も正直に言うと怖かった。

 だけどそれ以上に、まだ私を求める気持ちがあるんだとうれしかったのも事実だ。

 結局、なぜ彼があんな真似をしたのかいまだにわからないでいる。

 そうして一週間が過ぎ、二週間が過ぎた。

 藍斗さんに避けられ続け、自宅でもすれ違う。

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