冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 仕事のために外へ出ている時間のほうがよほど息をしやすくて、こんなゆがんだ結婚生活は切ないと何度も思った。

 優陽に相談したら、なにか力になってくれるだろうか。

 でも彼女に恋愛の話をするのは怖い。傷つけてしまうんじゃないかと不安になる。

 自分のことはきっと自分で解決しなきゃいけないのだと思っていたある日のこと、取引先から飲み会に誘われた。

「いいお店を見つけたんですよ。いつもお世話になっているお礼に、今夜どうです?」

 にこにこと人のいい笑みを浮かべて言うその女性は、どうも自他ともに認める酒好きらしい。

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