お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 これを教えてくれたのは藍斗さんだ。付き合っている時にはもう社長だった彼が、営業の心得を教えてくれたのだ。

 その藍斗さんに飲み会の件を説明するかどうか思案する。

 どうせすれ違い生活の最中だし、私がどこでなにをしていようと、彼に迷惑がかからないなら問題ないはずだ。

 なにより、彼に連絡するのが少し怖い。

 いちいち連絡してこなくていい、と言われたらきっと立ち直れない。

 いっそ『飲み会なんか行くな』と言ってほしいけれど、絶対にありえないから期待するだけ無駄だ。

 結局のところ、私は今のかかわりのない関係がだらだら続いていることに安堵しているらしい。

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