お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 最低値でいれば、あとは上があるだけだ。

 期待して必要以上に打ちのめされることもないし、なにもなければないで変わらず彼の妻ではいられる。

 なんともむなしい結婚生活だけれど、それでも彼のそばにいたい。

 私の愛は一方的で自分勝手だ。藍斗さんの気持ちがなくても、私が好きだから一緒にいたいとしがみついて離れまいとするのだから。



 その夜、私は飲み会でいつも以上に酒を飲んだ。

 意外においしかったのと、話が盛り上がったのと、酒でふわふわした頭だと藍斗さんの件で悩まずにすむのが気持ちよくて、つい量を過ごしてしまった。

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