お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
「てっきり、百とか二百とかそのくらいかと……」

『びっくりだよね。でも、どうにかして返さなきゃいけないの』

 父が連帯保証人を引き受けたせい、といえばその通りだけれど、責める気にはなれない。

 私だってもし優陽が困っていると言ったら、リスクを考えずに手を貸すだろう。連絡がつかなくなったとしても、許せない気持ち以上に心配する。

 人情に篤い父のことだから、友人を心配する思いを抱きつつも、家族に迷惑をかける申し訳なさで追い詰められているかもしれない。

『本当に申し訳ないんだけど、優陽にも助けてもらいたくて。無理のない範囲で返済の協力をしてくれないかな』

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