お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 心配していい立場ではないと思いながら、どう不安を伝えればこの危なっかしい行為を控えてくれるのかわからず、冷たい言い方をしてしまった。

 最低だ、と思いながら円香に再び呼びかける。

 よほど眠りが深いようで、彼女が起きる気配はない。

 ベッドまで運ぶのは難しくないが、彼女にはもう触れないと決めている。

 だったら毛布をかけてここで寝かせたままにするかと思うも、ソファで寝たら翌朝身体が痛くなってしまうだろう。

 悩んだ末、これは下心のある行為ではないと結論づけて慎重に円香を抱き上げた。

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