お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 よくわからなくて、首を傾げながらリビングへ向かった。



 自室で本を読むのも味気なくてリビングにいると、藍斗さんが二階から下りてきた。

 私がソファでくつろいでいるのをちらりと見てからキッチンに消え、お茶の入ったペットボトルを手にまた現れる。

 一連の動きを目で追っていた自分に苦笑してしまった。

 そんなふうにしたからといって、藍斗さんとの結婚生活が変わるわけでもないのに――と思っていたのに、てっきり部屋に戻るかと思っていた藍斗さんが私のそばまでやってくる。

「再来週の日曜日、世話になっている取引先がパーティーを開く。妻として同行してもらいたい」

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